鹿児島の食材をPRする目的で、東京で活躍する鹿児島県出身の有名シェフ3人を集めた「匠による『鹿児島の食』フェア」が
城山観光ホテル(鹿児島市新照院町)で開かれた。東京では味わう機会がない新鮮な地元産の食材をふんだんに使った料理を
堪能。翌日は料理に使われた黒酢の生産地を訪問し、鹿児島の食文化を体感してきた。
■仏、伊、和…3人の巨匠
「ホテルメトロポリタンエドモンド」(東京都千代田区飯田橋)名誉総料理長で仏料理の巨匠、中村勝宏氏=阿久根市出身
▽予約が取れないことで知られる伊料理店「リストランテ濱崎」(港区南青山)オーナシェフ、濱崎龍一氏=いちき串木野市出身
▽日本料理店「なだ万」(本店・千代田区紀尾井町)総料理長、木浦信敏氏=枕崎市出身=とそうそうたるメンバーがそろった。
食材を探すため県内を回った3人は、「野菜、肉、魚介とバランスが取れていることが一番素晴らしい」(中村氏)「日本で一番
早く旬の野菜が取れる。南国らしさを感じてほしい」(木浦氏)と地元食材の素晴らしさを再発見し、称賛した。
それぞれの出身地の食材を使うこととし、中村氏が「クロマグロとそら豆のカクテル」、濱崎氏が「真鯛のクルード デコポンと
サワーポメロと共に」、木浦氏が「枕崎産タカエビの揚げしんじょ」などを提供。さらにそれぞれ4~6品のビュッフェメニューを
用意した。
ふだんは外食といえば手っ取り早く牛丼、ラーメンくらい。下手をすると一生に一度かもしれないと思い、ビュッフェの列と
テーブルを何度も往復し、美食の数々を味わわせてもらった。
今回のフェアで誕生したメニューの一部を4月上旬からホテルのレストランで提供するという。
■壺畑で育つ黒酢
健康ブームもあり数多くの黒酢関連商品が流通するが、屋外に並べた壺(つぼ)で発酵・熟成させる霧島市福山町産こそが
“本物”といわれる。
「黒酢製造を『子育て』と呼んでいます」。江戸後期から続く坂元醸造(本社・鹿児島市上之園町)の蔵元忠明工場長(61)が
話す。米麹、蒸し米、地下水だけを原料とし、壺の中で1~3年以上熟成させてようやく商品となるという。
仕込みから1カ月ほどで始まるアルコール発酵の時期は、壺に耳をつけてかすかな発酵音を確かめる。酢酸発酵、熟成の
時期に入ってからも“壺畑”を回り、熟成を促すために竹の枝で一つずつ攪拌(かくはん)していく。「手のかかる子ですが、
壺を開けるたびにいい顔になっていく」。5万2000個が並ぶ“壺畑”の総面積はサッカーコート4面分の1万坪に及ぶ。
「半年物」、ようやく坂元醸造の商品としての基準を満たす「1年物」、高級品の「3年物」の3種類を“利き黒酢”させてもらう。
まず半年物、黄色く見た目も黒酢には程遠い。ゲホッ、野趣あふれるというか思わず顔をしかめてしまう。「若いから生意気な味
でしょう」と工場長が笑う。1年、3年とまろやかになっていくのが分かる。
「うちは高血圧の家系なんですがね。私だけ血圧でひっかかったことがない。昔から毎日のように飲んでましたから」。
つやつやの顔がほころんだ。
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■城山観光ホテル 鹿児島市新照院町41の1。
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■坂元のくろず「壺畑」情報館 霧島市福山町福山3075。
(※問い合わせ先省略。ソース元でご確認下さい)
ソース(MSN産経ニュース、SANKEI EXPRESS)
http://sankei.jp.msn.com/life/news/130228/trd13022818100013-n1.htm
写真=中村勝宏氏の「鹿児島産各種野菜とくるま海老のクルディナ」
写真=濱崎龍一氏の「真鯛のクルード_デコポンとサワーポメロと共に(カルパッチョ風)」
写真=木浦信敏氏の「鹿児島県産新鮮お造りのデコポン盛り」
写真=「壺畑」で黒酢製造を説明する坂元醸造の蔵元忠明工場長
鹿児島産って空豆ぐらいしか見かけない